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過去の自分と比べる心を静める 定年後に自分を肯定する新しい視点

Tags: 定年後, 自己肯定感, マインドセット, 過去との比較, 新しい生き方

定年後、過去の自分との比較に心を乱されていませんか

長年のキャリアを終え、セカンドライフを迎えた時、多くの方が経験することの一つに「過去の自分との比較」があるかもしれません。会社で活躍していた頃の自分、責任あるポストに就いていた頃の自分、社会的な肩書があった頃の自分。そうした過去の輝かしい姿と、現在の肩書のない自分、時間に追われない日常を送る自分を比べてしまい、「今の自分は何をしているのだろう」「価値がなくなったように感じる」と、漠然とした不安や自己肯定感の低下を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした比較は、自然な感情反応として起こりうるものです。しかし、過去の自分との比較に囚われすぎると、現在の自分を否定してしまい、新しい人生の一歩を踏み出す意欲を失ってしまうことにもつながりかねません。大切なのは、この比較から抜け出し、今の自分を肯定し、前向きに生きていくための新しい視点を持つことです。

過去の自分との比較が生まれる背景

私たちは、会社という組織の中で、役割や成果によって評価されることに慣れていました。そこには明確な目標があり、達成感を得られる機会も多くあったかもしれません。定年退職は、そうした評価軸や環境からの大きな変化を伴います。

突然、「何者でもない自分」になったように感じたり、社会とのつながりが希薄になったと感じたりすることで、かつて自分が持っていた「価値」は失われたのではないかという錯覚に陥りやすくなります。そして、それを埋め合わせようとするかのように、過去の「できた自分」を理想化し、現在の自分を過小評価してしまうのです。

過去の自分は通過点 今の自分を受け入れる

まず理解したいのは、過去のあなたは素晴らしい経験を積んだ「その時のあなた」であるということです。そして、今のあなたは、その経験を経た上で、新しい可能性を秘めた「今のあなた」なのです。過去の自分と今の自分は、優劣をつけるべき対象ではなく、時間の流れの中で変化し続ける一連の「自分」であると捉え直してみましょう。

会社員時代のあなたは、特定のフィールドで最大限の力を発揮するために築き上げられた姿です。しかし、人生の段階が変われば、求められる姿も変わってきます。定年後の人生は、会社という枠組みから解放され、自分自身の内面や本当にやりたいことに向き合える貴重な時間です。

過去の自分と比べて「劣化した」と感じるのではなく、「新しい自分に変化している途中だ」と受け入れる姿勢が大切です。過去の経験を「宝物」として大切にしつつ、それを土台に、今だからこそできること、今の自分だからこそ感じられる喜びを見つけることに意識を向けましょう。

今の自分を評価する新しい基準を持つ

会社員時代は、昇進や給与、プロジェクトの成功などが分かりやすい評価基準でした。しかし、定年後の人生には、会社とは異なる、自分自身の新しい評価基準が必要です。

例えば、

こうした、より内面的で、日々の生活に根ざした基準で自分を評価してみましょう。大きな成果でなくても、一つ一つの小さな「できた」や「良かった」を自分自身で認め、肯定することが、新しい自己肯定感を育む土台となります。

小さな一歩を肯定し未来に視点を移す

過去の自分との比較から抜け出すためには、意識的に視点を未来に移すことも有効です。過去は変えられませんが、未来はこれから自分で創っていくことができます。

過去の「できた自分」を羨むのではなく、「これからの自分は何ができるだろう」と考えてみましょう。興味のあることに挑戦する、学びたいことを始める、地域活動に参加してみるなど、どんなに小さな一歩でも構いません。

そして、その一歩を踏み出した自分自身を、心から褒めてあげてください。結果がどうであれ、行動したこと自体が素晴らしい価値を持ちます。小さな成功体験を積み重ねることで、「今の自分にもできることがある」「まだ成長できる」という前向きな感覚を取り戻すことができます。

まとめ

定年後に過去の自分と比べてしまうことは、多くの方が経験する自然な感情です。しかし、その比較に囚われすぎず、新しい視点を持つことが、前向きなセカンドライフを送る鍵となります。

過去の自分は、現在の自分を形作る大切な一部です。その経験を糧に、今の自分をありのままに受け入れ、自分自身の新しい評価基準を見つけましょう。そして、未来に目を向け、どんなに小さなことでも新しい一歩を踏み出し、その努力や変化を楽しむことで、揺るぎない自己肯定感を育んでいくことができるはずです。

今のあなたは、過去のあなたとは違う、新しい魅力と可能性を持っています。自分自身を信じ、ゆっくりと、ご自身のペースで、新しい人生を歩んでいきましょう。